独眼狼ーワンアイウルフー




2人は部屋に一歩、足を踏みいれ立ち止まった。

白で統一されたシンプルな部屋。

窓際にあるベットで少年が眠りについていた。

顔の右半分を包帯で覆われ、毛布から出している両腕にも所々に包帯が巻かれている。


─…しかし、ケビィンとコハクが足を止めた原因はそこではない。


「な、んで……」


コハクが声を震わせ、呟いた。


少年の左腕には点滴。

そして右手首には……



「…どうして、鎖なんて…っ」


少年の右手首には罪人用の鎖。

目で鎖を辿ると、ベットの柱につけられていた。


「………逃亡するのを阻止するため、だろうな…」
「そんな事…!!」
「しないって言い切れるか?こいつがもし、シンディウス王国の人間だったらどうする?」
「それは……」


コハクは細い指をきつく握りしめた。


「……俺も、ここまでする必要はねぇとは思う。だが、上の連中はする必要があると判断したんだろうよ…」


ケビィンは声を潜め、呟いた。