「軍に引き入れろ…か」
「…どうしたんですか?ケビィンさん」
「あー、いやなんでもねぇ」
「独り言ですか?……やめてくださいよ」
手厳しいなー、と呟き頬を掻くケビィン。
今、2人が居るのはカルテルに隣接する街にある軍事病院。
ケビィンは手にお見舞い用の果物を、コハクは手に案内用地図を持って歩いている。
2人の任務は“2つ”あった。
1つ目はケルベロスの操縦士の身元確認。
……そして、2つ目はケルベロスの操縦士をジーンデーン共和国軍に引き入れる事。
本命の任務は2つ目。
1つ目の任務はおまけみたいなものである。
「ここ、ですね……」
コハクが案内用地図に記された部屋番号と、目の前の部屋の番号が一致している。
他の病室から離れた所に造られたこの部屋は、重症患者用である。
「邪魔するぞ」
ケビィンが一言だけ言い、2人は部屋へ入った。


