到着した救護班の班員とケビィンが、何かを話しながらケルベロスのコックピットから出て来た。
コハクはその様子を、グリフォンから降りて少し離れた所から見ていた。
その少し後に、数人の班員が担架を運んでいる。
すれ違いざまに見た担架で運ばれて行くケルベロスの操縦士は、コハクと同い年か、1つ年上ぐらいの少年だった。
応急手当をされながら、担架で運ばれていく少年の手か何かが滑り落ちた。
班員とケビィンはそれに気づかず、搬送用ヘリに乗り込んで飛びたった。
─…ヘリが飛びたった後、コハクは少年が落とした何かを拾いあげた。
「……リング?」
少年の髪の色と同じ、銀色に輝くシルバーリング。
それには真新しい傷と少し血がついていた。
そして、リングの内側には―…。
「“E.K”…?」
誰かのイニシャルなのだろうか…、あの少年のかも………などと考えたが、これが誰の名前なのかコハクには分からなかった……。


