ケビィンがシルバーリングに触れようとした瞬間、コックピット内に電子音が響いた。
通信機が受信した時に響く音である。
「お、おぅ。どうした?コハク」
『団長に報告しましたよ。救護班はあと10分ぐらいで到着するそうです』
「そうか!!なら……」
「………ディ…リ…」
ケビィンの耳にコハクではない声が聞こえた。
「…おい、お前なんつった?」
『え?だから………』
「あー、コハクじゃねぇ。とりあえず通信切っぞ」
話がややこしくなる前に通信を切るケビィン。
「目を……、覚ましてはねぇんだな」
先ほど微かに聞こえたのは少年の声だった。
目が覚めたのかと思い、ケビィンは少年の顔を覗きこんだが気を失ったままだった。
おそらく、うなされているのだろう。
─…それからケビィンの元に救護班の班員が来るまで、少年は一度も目を覚まさなかった。


