「まだもう一個あんだよ!!」
ケビィンは、先程貫通された盾とは違う方の腕に着いている盾でケルベロスの牙を防ぐ。
辺りに盾が砕かれていく音が響く。
……このままでは勝てない、とケビィンは察していた。
アーマードベアの両腕に着いた盾でケルベロスの攻撃を防げるのは、残り1回ずつ。
相手が普通の機械獣だったなら、まだ作戦はいくらでも練る事ができた。
…しかし相手は特殊型機械獣で、更には狂乱状態。
話が通じなければ、心理戦に持ち込む事すら出来ない。
ケビィンが自分の拳を強く握る。
「…勝負に勝つ気なんか、初めからない」
アーマードベアの盾に噛みついたままのケルベロスの首元を、空いている方の腕で掴む。
しかし、先程とは違い振り回そうとはせずケルベロスの首元を掴んだまま離そうとしない。
異変を感じたのか、ケルベロスが一旦アーマードベアから離れようとするが、首元を押さえられているせいで離れる事が出来ない。
「絶対、離すかよ…っ」


