独眼狼ーワンアイウルフー




「あれは―……」
『危ないっ!!』


ケビィンの声を遮り、コハクが叫んだ。

それと同時にグリフォンが大きく左に動く。

グリフォンに掴まっているアーマードベアも、同じように大きく左に動いた。


先程までアーマードベアがいた場所を何かが駆け抜けた。

アーマードベアを狙っていたであろう鋭い爪は、空を切った。


「コハク!!すまねぇ助かった」
『どういたしまして。それよりもあの機体……』
「あっ、そうだった!!てめぇなにしやが……」


文句を言おうとしたケビィンの声は小さくなっていき、終いには消えていた。

ケビィンは自分に攻撃しようとしたのはシンディウスの機械獣、タイガーだと思っていた。

……だが、目の前にいるのはまったく違う機械獣。



黒い狼の姿。

黒い体に映える、燃える様に紅い鬣(たてがみ)。

そして、右目に傷痕。


『まさかこの機体が……』

コハクが言葉を結ぐ。


『特殊型機械獣、ケルベロス!!』