独眼狼ーワンアイウルフー




「それくらい分かってますよ!!」
「あー怒るなよ。女の子は笑ってる方がモテるぞ」
「余計なお世話ですっ」


その一言を残し、コハクは通信を切った。

流石に言い過ぎたな…と少し反省しつつケビィンは頬を掻く。

揺れる景色を見ながら、ケビィンはカルテルに着くのを待つ事にした。


それから暫くしてコハクから通信が入った。

グリフォンに搭載されたズーム機能を使ったのだろう、コハクが口を開いた。


『あ、あと少しでカルテルに…』


しかし、不意にコハクの言葉が途切れた。


「…おい、コハクどうしたんだ?コハク!!」


ケビィンが通信機に向かって叫ぶ。

何かあったのかと思うと自然に力が入り、きつく拳を握っていた。



『……カルテル、が』


いつもハキハキした口調のコハクだが、今は途切れ途切れに声を震わせていた。

「…カルテル?カルテルがどうしたんだってんだ?」

ケビィンが眉に皺をよせ、呟く。

しかしケビィンの言葉にコハクは応えなかった。