マクスウェルが部屋に戻ると、明かりもつけないままティファナがソファーに座っていた。
部屋の明かりをつけ、マクスウェルがティファナの隣に腰を下ろす。
「…ティファナ」
ティファナは隣にマクスウェルが座っても、顔を上げずうつ向いていた。
その事を不思議に思ったマクスウェルが、声をかけるよりも先に、ティファナが口を開いた。
「マクスウェル様。…私は……」
言いづらい事なのか、ティファナが言葉の途中で口を閉ざす。
マクスウェルがその先の言葉を促すように、ティファナの小さな手を握る。
ティファナが膝の上でその小さな手に力を籠め、微かに震わせる。
「私は…、“ティファナ”ですよね…?」
ティファナがうつ向いたまま、呟いた。
その為、マクスウェルからティファナの表情は見えない。
だが、ティファナの声が微かに震えてる事にマクスウェルが気づかない訳がなかった。


