「マクスウェル少佐!!なぜスフィンクスをラシェード平野から退かせたのだっ!!」
扉を越して部屋の外に響く程の野太い声で、マグナル中佐が怒りを表している。
それに表情を変える事なく、マクスウェルは淡々と話し始めた。
「あれ以上の戦闘は不利だ、と判断したからです」
「ビーから見た映像では此方が優勢だったぞ!!?」
ビーは、シンディウス軍の無人偵察機。
蜂の姿に似せたビーは、空中からの偵察が可能なのだが、声までは聞こえない。
つまり…スフィンクスとケルベロスの戦いは見ていたが、レクスとティファナの会話は聞こえていなかったのだ。
マクスウェルが呟く。
「…確かにティファナは優勢を保っていました」
「そうだ!!それが分かっていて、なぜ…」
「しかし」
マグナルの言葉を遮るように、マクスウェルが口を開く。
「…他の者達が撃破された以上、あの場に止まるのは自殺行為です」
「…確かにそうだね」
マクスウェルの意見に同意したのは、今まで口を閉ざし黙って聞いていたウェゲナーだった。


