「…それで、レクスはどうしたいの?」
コハクの言葉に、レクスが驚いて顔を上げる。
レクスが思わず、コハクの言葉を繰り返した。
「どうって…何を?」
「だから妹さんの事。レクスはどうしたいの?」
そんな事を聞かれると思っていなかったレクスは、一瞬反応が出来なかった。
しかし、コハクの言葉の意味を理解すると歯を食いしばった。
「―…俺は……」
傷のついた右目を押さえれば脳裏に浮かぶ妹の姿。
5年前のあの日、今は亡き母と約束した。
母の分まで妹を…エディリアを守ると―…。
レクスが低く呟いた。
「俺は…エディリアを、取り戻したい…」
その声には、コハクが肩を震わせてしまう程の重みがあった。
「約束…したんだ、…母さんと。エディリアに誰か大切な人が出来るまで……俺が守るって…」
レクスの握った拳には、ぎりり…と力が籠る。


