レクスはコハクの部屋の前に着いて、控え目にノックをした。
すると、中から「どうぞ」と小さく声が聞こえた。
それはコハクの声ではなく、ルイの声だった。
扉を開け部屋に入るとレクスの視界に入ったのは、頭や腕に包帯を巻かれ眠りについているコハクの姿。
…そして、その側の椅子に座っているルイの姿だった。
レクスが口を開こうとした時、ルイが口に手をあて小さな声で呟いた。
「コハク、まだ眠むってるんであんまり物音とかをたてないでください…」
ルイの言葉に、レクスは頷いた。
それに安心したのかルイが少し微笑んで、立ち上がり音をたてないようにドアノブに手をかけた。
「私、タオルとか医療室からもらって来ますね」
「…あぁ、頼む」
ルイは一度だけ軽く頭を下げ、部屋を後にした。


