ケビィンが口を挟んだ。
「ケルベロスは動くんだろ?なのに、なぜ攻撃しようとしなかったんだ」
「あいつは…」
一度は言いかけたが、レクスは再び口を閉ざした。
「人払いもしているし…話してくれないかな?レクス」
霧兎は口調こそ優しいが、何がなんでも言わせようという気配を漂わせている。
観念したように、レクスが話し始めた。
「……スフィンクスに乗っていたのは、エディリア…俺の妹…でした」
霧兎とケビィンは目を見開いた。
しかし、何も口に出さずレクスの言葉の続きを待った。
「……でも、あいつは自分の名前も……俺の事も忘れてて…、自分の事を…“ティファナ”って名乗ってた…」
右目を押さえ、レクスは言葉を紡いだ。
「それでも、あいつはエディリアなんです…っ。声も…言っていた言葉も、同じだった…っ!!」
「だから、攻撃できなかった…と言うのかい?」
霧兎の冷たい声に、レクスは肩を揺らした。


