「コハク…!!」
レクスがコハクの名前を呼ぶが、コハクが応える事はない。
今、レクスの声はコハクに届いていないから…。
『…次はあなた、です』
ティファナの声が冷徹に響く。
スフィンクスがケルベロスに一歩、また一歩近づいて行く。
しかし、ケルベロスは動かない。
「エディリア…」
レクスはただそう呟く事しか出来ない。
ティファナの頭にまた、少し痛みが走る。
それを振り払うようにスフィンクスが爪を振り上げようとした矢先、空から羽音が響いた。
それはシンディウスの機械獣、クロウによるもの。
クロウの操縦士が叫ぶ。
『テ、ティファナ少尉!!退却です…退却命令が出されましたっ!!』
『…どうして?もう少しでケルベロスを撃破できるのに』
ティファナが首を傾げた。
『この場には、もうティファナ少尉と私しか残っていません……他は全て撃破されました…っ!!』


