独眼狼ーワンアイウルフー




今のレクスには、攻撃する事も…自らに襲いかかる爪を避ける事も出来ない。


『くそ…!!レクスッ、レクス!!』


ケルベロスの声さえ、レクスには届かない。

自分に振り下ろされる爪を、どこか他人事のようにレクスは見上げた。


『…終わり、です』


ティファナがそう呟くと同時に─…一陣の風が吹いた。


『レクスッ!!』


その風に混じり、少女の声が響いた。

それは、レクスの知っている……黒髪の少女の声だった。

空から急降下して来たグリフォンが、ケルベロスを狙っていたスフィンクスに爪を振り下ろす。


『…っ!!』


微かに動揺しつつ、ティファナはスフィンクスを飛び退かせ爪をかわす。

ケルベロスとスフィンクスの間合いを広めるように、グリフォンが地面に降り立った。