「ティファナには……私から伝えます」
「…分かった、頼むよマクスウェル少佐」


マクスウェルは一度だけ軽く頭を下げ、部屋を後にした。

……マクスウェルが部屋から出て行った後、ウェゲナーがため息混じりに呟いた。


「やれやれ…マクスウェル少佐も過保護だな」
「……なぜ、少佐は素性も知れないティファナをあそこまで大切にするんですか?」


ゼノスの問いかけに、ウェゲナーが唸った。


「…宝物、なんだろう」
「宝物……ですか?」


ゼノスがウェゲナーの言葉を繰り返した。

ウェゲナーが頷く。


「そう、宝物なのさ。普段、滅多な事では感情を表さない彼があそこまで依存するほどの……ね」


上手く理解しきれていないゼノスに、ウェゲナーは違う話をふった。


「ところでゼノス中尉、フェンリルの方は大丈夫なのかな?」


ゼノスが一瞬肩をぴくり、と揺らした。