「先生ー!あたし、とばしてる!」



この日も、いつもと同じセリフを言い、なんとか出席を取ってもらった。

でも、この日は既に《いつも》なんかじゃなくなっていたことを、この後に知ったんだ。







《あっ!やばっ!国語の教科書 忘れた!!》



そう思い、隣のクラスまで行って、親友って程でもないけど、まあ友達でしょ、って感じの子の名前を呼んだ。



「麻由ー!!」



そう言って、手招きすると、麻由は、きょとんとした顔をして、不思議そうにこっちに来た。



「ごめん!国語の教科書 貸して?忘れちゃったんだ。」



この後の、麻由からの返事に、あたしは日常が崩れていく気配を感じた。