記憶率0%




そんな…

先生まで…



「…っ…!」



溢れ出る涙を手で隠して、先生から逃げるようにして走った。


走って、走って、学校を出た。


走って、走って、家の前まで来た。


家の中には、お父さんがいる…


あたしは、また走った。

走って、走って…

だけど、あたしには行くあてなんてなくて…


仕方なく近くの公園に入って、ブランコに腰掛けた。



「…っ…ヒック…。」



悲しかった。


みんなに忘れられていくのはもちろん、あたしには本当の居場所がないって思えたから。

走って、走って、あたしはどこへ向かってた?

学校にも、家にも居られなくて、どこにあたしの居場所があるの?


そう思った。


その一方で、涙って、いくら出しても枯れないんだな、なんて呑気なことも考えていた。