記憶率0%




勇人がいれば、大丈夫な気がした。

なにがあっても、大丈夫って…



《ガラガラ…》



そんな気がした。




だけど、やっぱり現実は重かった。



「おっす、勇人!」


「おう、はよー。」



クラスメートの男子が勇人にあいさつすると、後ろに隠れるようにして教室に入った私と目が合った。



あっ…

やばい…この目…



「勇人、もしかして彼女?えー、なになに?名前なんてーの?」



やっぱり…

忘れられてる。


昨日はクラスの男子1人だったのに、違う男子にも忘れられたんだ。



「ちげぇーよ。そんなんじゃねぇんだって。」


「勇人…ごめん。あたし…やっぱり…っ。」



そこまで言うと、涙がこぼれそうになったので、急いで後ろを向いて走り出した。