記憶率0%








「どうしたんだよ?」



勇人があたしの顔を覗き込んできた。

なんでかっていうと、教室のドアを開けるから…


今のあたしにとって、これ以上恐いものはない。

あたしは、クラスメートの中にまだ存在してるの?

ドアの向こうには他人ばかりがいるんじゃないかと不安になる。

誰も覚えてないんじゃ…



「大丈夫。俺は覚えてる。な?」


「…!」



そう言ってニカッと笑った勇人のお陰で、ちょっと元気でた。



「勇人…すごいね。あたし、今、口に出してなかったよ?」


「まぁな。エスパーってやつ?」


「なにそれ!」


「お前のこと、俺が忘れるわけないっつうこと。」


「アハハ。意味わかんないし。」


「まあまあ。ほれ、教室入るぞ。」


「うん!」