記憶率0%




「ねぇねぇ。」


「まだ何かあんのかよ?」



首を回して顔だけこっちに向けながら、笑いかけてくれた。



「名前…毎日呼んでくれるって言ったじゃん?」


「あー、うん。言ったな。」


「今日の分、まだだよね。…呼んでよ。」


「今?ここで?」


「うん。」


「ったく、しょうがねぇなぁ…」



文句を言いながらも、勇人は、優しくあたしの名前を呼んでくれた。


なんでだか、胸の奥が痛いようなこそばゆいような…

そんな感覚になったのは、勇人には言わないでおこう。


あたしの名前を呼んだ後の勇人の照れた顔が、無性にかわいく見えたってことも…