「ねぇねぇ。」
「まだ何かあんのかよ?」
首を回して顔だけこっちに向けながら、笑いかけてくれた。
「名前…毎日呼んでくれるって言ったじゃん?」
「あー、うん。言ったな。」
「今日の分、まだだよね。…呼んでよ。」
「今?ここで?」
「うん。」
「ったく、しょうがねぇなぁ…」
文句を言いながらも、勇人は、優しくあたしの名前を呼んでくれた。
なんでだか、胸の奥が痛いようなこそばゆいような…
そんな感覚になったのは、勇人には言わないでおこう。
あたしの名前を呼んだ後の勇人の照れた顔が、無性にかわいく見えたってことも…


