「ね、勇人?」
「ん~?どした?」
勇人は前を向いて歩いたまま応えた。
「あのさ、どうして急に一緒に学校行こう、なんて言い出したの?勇人んちって、あたしんちと近いっけ?」
そうたずねると、勇人はピタリと歩みを止めて、後ろをついて行ってたあたしの方に向き直った。
「それは…き…から。」
勇人にしては珍しく、呟くような小さな声だった。
「…?なんて?」
「な、なんでもねーよ。お前と一緒に行きたい気分だったんだよ。」
「なにそれ。」
拍子抜けな答えに思わず笑いがこぼれると、
「うっせーな。」
なんて言いながら、勇人は少しすねた感じで前を向いて、再び歩きだした。


