記憶率0%




「ね、勇人?」


「ん~?どした?」



勇人は前を向いて歩いたまま応えた。



「あのさ、どうして急に一緒に学校行こう、なんて言い出したの?勇人んちって、あたしんちと近いっけ?」



そうたずねると、勇人はピタリと歩みを止めて、後ろをついて行ってたあたしの方に向き直った。



「それは…き…から。」



勇人にしては珍しく、呟くような小さな声だった。



「…?なんて?」


「な、なんでもねーよ。お前と一緒に行きたい気分だったんだよ。」


「なにそれ。」



拍子抜けな答えに思わず笑いがこぼれると、



「うっせーな。」



なんて言いながら、勇人は少しすねた感じで前を向いて、再び歩きだした。