あたしは、夜眠ることも怖くなっていた。

一度目を閉じて、トロンと眠りに落ちてしまえば、次に目を覚ました時には、また誰かに忘れられてるから。

眠らなくても明日はくるのに、眠れない日々。



《カチッ》



枕元の目覚まし時計が、ピタリと12時をさした。



「もう"明日"だ…」



今日になった、昨日にとっての明日を迎えたことを確認した。



「また、誰かに忘れられたのかな…」



ポツリと呟いて、あたしはようやく眠りについた。






今日と明日の分け目なんて、たったの1秒なのに、その1秒が今はとてつもなく大きな区切りに思える。

時計の針が、カチッと1度動いただけど、あたしの中の不安が、何倍にも何十倍にもなるんだ。



明日なんて、来なければいいのに…

ずっと今日が続けばいい。

できれば、昨日や一昨日に戻って、その時間が続けばいいのに…