「…勇人(ユウト)!」
振り返った先にいたのは、クラスでもわりと仲のいい分類に入る男子だった。
「何してんだよ。もう授業始まってんぞ?ま、俺も人の事言えねぇけど。」
「別に… 」
ポツリと呟き、俯くと、勇人が心配そうに顔を近づけてきた。
「…?お前、目ぇ赤いぞ。泣いてたのか?」
「……。」
「どうしたんだよ。話してみ?」
「……っ。」
勇人があまりにも優しく言うもんだから、あたしは、また鼻の奥がツーンとなった。
そして、
「うわーん!…っ…もう…わけ…ヒック…わ…かんない!」
と、声をあげて泣きだしてしまった。
さっきまであんなに泣いてたのに…
涙には底がないみたい。


