公園を突っ切って反対側の道に渡ろうとした時だった。

「こんばんは、カナさん。」

名前を呼ばれて振り返る。

自分と同じ、高校生くらいの女の子が木陰のベンチに座っていた。

全体的に色素の薄いその女の子は、しおりを挟んだ分厚い本を膝の上にのせている。

そんなシチュエーションのためか、どこか物静かで害のないような印象を受けた。