[短]6月の第2ボタン


僕とは差ほど年齢の変わらない少女の笑い方が、

今はもう色褪せてしまった記憶の中の誰かに似ていると思った。


が、それが誰なのか、今は思い出すことができない。



「これで全部?」

「はい、ありがとうございます」



立ち上がって、ケータイを見ると、既に5時を回っていた。


バイトは5時から。完全に遅刻。


店長に怒られることを覚悟し、僕は「じゃ、本当にごめんね。」とだけ言って、

その場を立ち去る。


しかし、少女の「あっ!!」という叫び声に、その動きを止められた。


今し方いた場所に振り返ると、彼女は手を『グー』の形にして、僕の胸のあたりに突き出している。



「…?」



そっと開かれた手のひらに、やさしく包まれていたものの正体が見え始める。