[短]6月の第2ボタン


あまりにも急すぎて、制服の生産が追いつかなかった、そうだ。


しかし、それも今日で終わる。

今日の放課後、担任から新しい制服を受け取ってしまえば、この学ランはもう用無しとなる。


渡せなかった第2ボタンは、永遠に闇の中に葬られる。


今度こそ本当に、第2ボタンは、『彼女』の手に渡ることはない。



「幸希、おはよう」



校門をくぐると、クラスのひとりが僕に声をかけてくれた。


麻人とのタイプは違うが、趣味も僕と似ていて、なかなか気の合いそうな奴。


彼の言葉を合図にして、同級生から先輩まで、さまざまな人が

「よう!学ランくん!」


と声をかけてくる。


不安だった未来が、今では楽しみで楽しみで仕方がなくなっていた。