あまりにも急すぎて、制服の生産が追いつかなかった、そうだ。
しかし、それも今日で終わる。
今日の放課後、担任から新しい制服を受け取ってしまえば、この学ランはもう用無しとなる。
渡せなかった第2ボタンは、永遠に闇の中に葬られる。
今度こそ本当に、第2ボタンは、『彼女』の手に渡ることはない。
「幸希、おはよう」
校門をくぐると、クラスのひとりが僕に声をかけてくれた。
麻人とのタイプは違うが、趣味も僕と似ていて、なかなか気の合いそうな奴。
彼の言葉を合図にして、同級生から先輩まで、さまざまな人が
「よう!学ランくん!」
と声をかけてくる。
不安だった未来が、今では楽しみで楽しみで仕方がなくなっていた。

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