「ユウジ!!!、久しぶりだね。元気にしてた?」と

受話器の向こうから聞こえるその声からも、
素直に再会を喜んでくれている気持ちが伝わってきた。
オレも「元気に決まってるじゃん!!!」と喜びをいっぱいに表現して返すと、

「ユウジ、私の事ずっと捜してくれてたみたいだね、嬉しいありがとう!!!」

と言われ急に照れくさくなったオレは、ひと呼吸置いて
「今どこに住んでるの?」と話しをそらした。

すると驚いた事にお互いが以前住んでいた家の距離よりも、引っ越してからの距離の方が
近くなっていて、今まで普通に生活していて偶然出会ったりしなかった事が不思議なくらいだった。

「オレ達もう二十歳だぜ・・・ 初めて出合った時から5年以上経つね・・・ 
色んな事があったけど、やっぱり寒くなって雪が降る季節になると思い出す事が沢山あるね・・・」

などと思い出に浸っていると会話は尽きなかったが、
二人が別れる直接の原因となったあの日の出来事や最後の電話の事、
そして別れてから今日までの事などは触れずにいた。

せっかく願いが叶ってこうして電話で話せてるのに、
わざわざ過去の辛い出来事なんか話す必要もないし、
その部分を話してしまうと風船のように又手の届かない場所に行ってしまいそうで嫌だった。

修学旅行の夜の事、
そして社会人となった現在の仕事の話しなんか笑いを交えて話していると、

時間はまるで流れ星のように過ぎていった。