涙の終りに ~my first love~

「真子、何が言いたいか分かる?」とオレはまず彼女の胸の内を探った。
すると真子は

「そんな低い声でどうしたの? 言ってくれないとわからないよ」

と昼間の出来事にはふれなかった。

こいつ、オレにはっきり言われてからじゃないと詫びを入れるつもりも無いなと判断したオレは、

「真子、もう別れよう」と最後の言葉を口にした。

オレは最後の言葉を口にした後で、真子が
「昼間の事で怒ってるんだね」と自分に非がある部分を語り始めると思っていた。

だけど彼女は決めていた言葉のように
「うん」と迷う事なく自分の意思を返してきた。
真子のその言葉を聞いた後で、オレは静かに受話器を置いた。

終わった・・・

この瞬間、本当にすべてが終わった。

それはまるでロウソクの灯りを吹き消すかように一瞬で終わった。
中学の時から離れていた期間もあるけど3年以上はつき合っていた、
なのに最後は「うん」とたった二文字の言葉で終わるなんて。

しかも別れの理由も聞かずに。

出会いがあれば必ず別れもある、だけどオレ達はこんな別れを迎えるために3年以上もつき合っていたのか。
そう思えば思うほど真子が憎くなった。

思えばオレは本当に真子に愛されていたのだろうか・・・ 
オレは愛した痛みをこんなに感じている。
痛くて痛くて苦しくて・・・ ふと見上げた夜空に星は滲んで輝いていた。

「涙じゃないぜ、目にゴミが入っただけだからな」と
オレは声に出して自分に言い聞かせるように言ってから家に帰った。

部屋に入ってクールスの「恋のおわり」って曲を聴いた。
オレにぴったりの曲だなんて思いながらベットに横になり、目を閉じると我慢していた涙が流れた。

そしてもう女は絶対に信じまいと心に決めた。

絶対に女には心を許さず、オレのところに来るヤツはみんなダマしてやろうと思った。