荒れた海に舟を出すような再スタートだったけど、高校になってからの付き合いは中学の時のようなすれ違いは無く楽しい日々が続いた。

それはお互いに通う学校が違うという二人にとっては適度な距離があり、
オレは男子校、彼女は女子高という不安材料が少なかった事もあった。

そんなある日、学校帰りの真子が突然オレの部屋に遊びに来る事になった。
話しの流れからいきなりそんな展開になってしまったけど、はっきり言ってすこし戸惑っていた。
復活して間もないし、マジなところオレの部屋に再び真子が来る事なんて絶対にないと思っていたので、彼女の嫌いな女性アイドルの水着ポスターなんかをベットの上に貼ったりしていた。

そんなオレの不安を吹き飛ばすかのように部屋に入った瞬間の彼女の第一声は、
「うわぁ~懐かしい匂い~」だったのをはっきり覚えている。
「ボロ家だから変わりようがないんだよ」と愛想無く返したが、オレはそんな些細な事を覚えてくれているのが嬉しかった。

だけどその後すぐ信じられないような言葉を耳にする事になる。

「多少レイアウトが変わったと思うけどテキトーに座って」とオレがいうと、真子はやはり座りなれたいつものポジションに座り、すぐに天使の置き物に気付いた。

「この天使ってあたしが修学旅行の夜にプレゼントした物だよね、大切にしててくれたんだね、嬉しい!」と目を輝かせながら子供のような笑顔を見せていた。
天使の表情も良いし「いつまでも仲良く」って言葉が気に入ってるんだとオレは話したが、それ以外の他のものはすべて捨ててしまったとは口が裂けても言えなかった。

だが真子の次の言葉で部屋の空気が一変した。