時は流れ春の訪れを感じ、新緑が目に眩しい季節になった。
3年生になりクラス替えがあったがオレが年賀状に書いた願いは叶わず、
真子とは別のクラスになり2年の時と同じで階さえも違った。
真子とは何故か縁がないなと思い、どうでもいいマミと他数人が3年も同じクラスになった。
新しいクラスでマミを見つけると
「これからもしっかり手紙を運べよ」とオレがいうと
「分かりましたよ~ 仲人だからずっと面倒見ますよ」とふくれっ面で舌を出していた。

だが3年になって最初の手紙でオレ達は別れてしまった。

恐らく真子はクラス替えのタイミングを待っていたのだと思う。

これといった理由も無く
「私たちもう別れましょう、今まで有難う、そしてゴメンね」と綴られたその文字は
短くもとても重い言葉だった。

別れの予感みたいなものはあった。
それはあの妊娠の一件依頼ずっと引きずっていた。
オレはこの時、男女間って一度ミゾが出来てしまうと埋まらないものだと思った。
女同士は分からないが男同士なら必ず許しあえる部分がある。男ならはっきり言って殴り合えばわだかまりなんて消えてしまう事だってある。

それが男と女なら無理だと知った。

ガラスと同じで一度ヒビが入ってしまうと絶対に元には戻らない。
元に戻らないどころかヒビが入った事により、それまでに増して取り扱いが慎重になってしまう。オレと真子が全くソレだった。
二人きりになると妙にヨソヨソしく、変な違和感があり、
それは付き合い始めの頃、沈黙を気にして言葉を探していたあの違和感とは全く違った。

お互いが触れてはいけないキズみたいなものを背負い、そのキズが広がらないように気苦労ばかりが増え交際という事に疲れていた。