彼女の乱れた衣類を見て何故かオレは泣いていた。
この日も肩を組んで真子を送り、二人はより強い絆で結ばれた気がした。

夜一人になると年賀状を書いた。
「HAPPY NEW YEAR」とか「あけましておめでとう」の後に何を書くかで夜中まで考え、
結局「3年になったら同じクラスになれたらいいね」と書いた。

書いた後、じつにくだらん何のヒネリもない小学生並みの年賀状だと思い、
真子はきっと女の子らしいカラフルな年賀状をよこすんだろうなと思うと、冴えない自分が情けなかった。

だが年が明けて元旦を過ぎても真子からの年賀状は来なかった。

年賀状を出したいから住所を教えてって言い出したのは彼女の方なのにおかしいなと思ったが正月を過ぎても年賀状は来なかった。

やきもきしながら郵便配達のバイクの音に耳を済ませオレは毎日ポストをチェックした。

だけどやはり年賀状は来なかった。

五日を過ぎる頃にはもう年賀状は来ないと諦めはじめ、毎日ポストをチェックした期待感は怒りに変わっていた。

思えばこの頃から少しずつ歩く歩幅が変わり始めていたのかも知れない。
歩幅の違う真子に必死で追い付こうと思えば思うほど、その距離は広がっていった。

「恋は盲目」って良く言ったもんで全速で追いかける事になる自分が息切れするとも思わなかった。