バレットフィンク

タケシは学との約束をもはや果たせそうに無い現実を真摯に、そして厳粛に受け止めようと努力していた。



学率いるカーライルは、威風堂々とホールクラスの会場で全国ツアーを敢行していた。どの会場もソールドアウト状態らしい。



日本の音楽シーンをリードする立場に学はいるのだ。もう、学の背中が見えない場所にタケシはいるのである。



雑誌を置いて、歩きながら店内を出ると、まっすぐに家路へ向かう。



ザック号を走らせている彼の小さな後ろ姿は、完全に泣き崩れていた。



そう、悲し過ぎる程に…。




バイトに汗を流していたタケシは、完全に音楽の道を諦めて就職しようと思い始めていた…。