Wolf Eyes

「それって、考えすぎじゃないの?」









親友の高部咲が、眉を八の字にして訊ねる。












「咲の言う通りだよ、俺らには普通で妹由にだけ冷たいって、ありえなくね?」















ありえるんだよバカ。

















アホ貴志め、










あたしの気持ちなんか、一生分かんないんだわ。
















もう、いやだ。













嫌われてんのかな、














『あたし、辰馬君のこと、好きなのに…』
















妹由の頬に一筋の涙が伝わる。













…やだ。泣いてやんの、あたし。
















「…!ちょっと妹由、何泣いてんの!?」












咲が仰天して、貴志を揺さぶる。
















「おおお俺、わ、分かんないしッ」













その時には、既に妹由の視界は涙でぼやけていた。













ふと辰馬を見ると、












心なしか
















いつもより目が大きく開いているように感じて、



















びっくりしてるようにも、見えた。














「あ、妹由!」









妹由は教室を抜け出した。