翌朝、鳥達のさえずりで目が覚めた。
「あいつ、また売れもしない絵を売りに行くんだぜ。」

「ホント、懲りないやつだな。無知ってのは怖いよ。」

鳥達がそんなことを話しているのだろうと、寝ぼけまじりに妄想していると、急にバカバカしくなって笑えてきた。

簡単な着替えを済ませ、今日も大学をさぼって『仕事』に出かける。今日も彼女は来るだろうか…。妙な期待をしながら爪先を地面に打ち付け、靴を履く。乾いた音が、アパートの廊下に響いた。