《人が死ぬ時、どんな気持ちで逝くんだろう?
大切な人を残して、どんな気持ちで…?》



兄が、たった今までいたベットに、手を置いて、
兄が、昨日言った言葉を
思い出していた―


『夢季見てみろ?!
 そこにおじいちゃんが
いるぞ!』


《また薬の副作用だ》


『本当だね。』

なんて嘘。
私には、見えるはずはない。

抗がん剤治療をうけていた兄は、たまに見えない物が見えた。

その中に、たまに、私も見てみたい物があった―