「あー…、いいけど直人は?」
「大丈夫だよ」
「でも、一応聞いてきなよ」
あたしがそう言うと美沙はすぐに席を立ち、直人の側に駆け寄る。
そんな美沙の行動に思わず笑みが零れた。
仲いいよな…
羨ましい。
暫く経ってから美沙は親指と人差し指をくっ付けながら、あたしの所まで駆け寄ってきた。
「行って来いってさ」
「じゃあ、行こっか」
「オッケー」
長ったらしいダラダラとした始業式の話を聞き終え担任のHRが終わると、あたしと美沙は急いで学校から飛び出した。
自転車で来ている美沙の後ろに乗って美沙が漕ぐ。
「わぁっ!!美沙、危ないって!!」
時たまぶつかりそうになる電柱にヒヤッとする。
「大丈夫だって〜」
美沙はケラケラ笑いながら後ろを振り向き大声を出す。
「ちょっ、前向いてなって!!」
「はい、はい」
キャーキャー騒いで人目につきながら、あたし達は繁華街へと向かった。
交差点には多くの車が交じ合う。始業式だった為、自棄に帰りの学生達が多かった。