「な、なんだよ……」


 いつもは居丈高な鈴木たちは萎縮したまま、それでも目を背けずに言う。


「何か言ってみろよ!」

 バン、と大きな身体に蹴りを入れる。

「僕はウザイのかもしれない!けど、殴られる覚えはない!痛かった!凄く痛かったんだ!」


 木刀を振り上げる。


 鈴木は目をぎゅっと閉じた。


「どうなんだ?!言ってみろよ?いつものように殴ってみろよ!」


 木刀を振り下ろした。


 それは田中に当たらないようにされていた。あえて床を殴りつけたのだ。


「鈴木!田中!佐藤!」


「「「はいっ!」」」


 すーっと少年は息を吸い込む。


「次に僕のことを馬鹿にしてみろ。僕の親の悪口を言ってみろ。絶対に――許さないからな」


 言い終わった後の少年の表情はとても晴れやかだった。