「タダイマ――」


 玄関から夫の声が聞こえてくるわ。
 私は晩御飯の用意を放り出して出迎えに行った。


「おかえりなさい」


 おや?
 雄太の目が真っ赤だけど、何か吹っ切れたような顔になってるわ。


「母さん、昨日はごめんなさい」


 ペコリと頭を下げて私に謝ったの。
 何を誤ってるのかわからない。


「ほら、こいつ昨日千鶴に心配かけただろ?そのことについて謝ってるんだよ」


 そんなこと気にしてないのに。


「ありがとう、雄太。今日はどうだった?良い日だった?」