「それでね。ダンプカーのところまでついたら、父さんと実はダンプカーの助手席に押し込まれたんだ。母さんは運転席についてキーを差し込んでね。そのまま夜のドライブさ」


 意味がわからなかったね。あのときは。


「母さんの目は完全にキレていてね。怖くて何も言えなかったよ。どこに行くの?と聞くことさえ出来なかった」


 ここまで話しても雄太は意味がわからないみたいだ。
 私と妻は雄太を大切にしてきたと思う。だから、わからないんだろうな。あのときの私の母さんの気持ちなんか。


「雄太、お前は今死にたいって思うか?」


 雄太はフルフルと首を振る。それが正しい。


「雄太、お前は殺したい奴はいるか?」


 強く頷かれた。親としては複雑な気分だが、自殺を考えるより余程良い。