「僕は――存在自体がウザイんだって――!」


 そう叫ぶ息子はとても悔しそうだった。


 痛かっただろう、苦しかっただろう、助けが欲しかっただろう、何もかもに絶望しただろう、それでも希望が欲しくて毎日縋っていたんだろう。縋っても何も変わらない日常に涙を零して、それでも尚縋ったのだろう。


「そうか」


 だけど、私はそれしか言わなかった。


「うぅぅ~~悔しいんだ!ムカつくんだ!何で僕なんだ!」


 蓄積していた悔しさや悲しさが濁流のように溢れ出す。その姿はとても小さい。子供だから小さいというのではなく、ただ小さく見えた。


「僕が何をしたんだ!」


 何もしないからイジメられてるんだろう。


「僕の何が悪いんだ!」


 何もしないことこそ悪いんだろう。


「僕の何が気に入らないんだ!」


 気に入らないことなどいくらでもあるだろう。しかし、あえて言うならば弱いからだろう。