flashback

「うーん、やっぱり見えなかったね」
あなたは笑って僕を見た。
あなたの大きな瞳に吸い込まれそうで慌てて目をそらそうとしたのに、あなたはそれを知っているかのように僕の顔を覗き込む。
「どうしたの?」
その髪にその頬に触れてみたいけれど、
僕にはそんな勇気はない。
「なんでもないよ」
首をかしげるあなたを真顔で見つめる。
手を伸ばせばすぐそこ、
でも嫌われたくない。
足の上に乗せた手をぎゅっと握る。

まだ早い。
嫌われたくない。
ダメだ、ダメだ。

僕の顔は強張る。
あなたは柔らかく笑う。
ふっといい匂いが漂って、
僕の唇はあなたに塞がれた。



落下していく観覧車の中で僕は恋に落ちた。