flashback

僕たちの順番。
あなたが先に僕が後から並んで座る。
ゆっくりと動いたまま、ドアの閉められる音とともに、僕たちはこの広い世界でふたりきりになった。

僕の知らない音楽が微かに流れる。
次の言葉を探す僕に
「やっぱり、ここからじゃ東京タワーは見えないよね」
あなたは窓の外に目を向けて、遠くを眺める。
「そうだね。もし見えるとしたら…」

僕は、東京タワーを探すフリをしながら
あなたの横顔をこっそりと見ていた。
このまま時間が止まればいいのに。
このまま、このまま。

なんて願いは叶うはずもなく、
頂点に達しあとは落下するだけ。