彼女は如月桜と名乗った。そして彼女の双子の姉がソフィであるという事実も。


そしてら桜から語られた話…200年前から約束された、闘いの螺旋に身を投じなければならない血塗られた運命に巻き込まれていた事を、成二は知った。


「あの…」


重苦しい空気の中、勇気を出して手を挙げたのが馬鹿だった。


スタッフの冷たい視線が成二に刺さる。


「なぁに、成二?」


執務室のモダンなデスクに座る室長…多香子が“言いたいこと、言っていいよ”…そんな顔をしてる。


姉のそんな気遣いに後押しされて、思ってた事をぶちまけた。


「敵の目的が見えない」


対策室に静寂が訪れる。


―――だからイヤだったんだ。


「正論ね。桜?そこはどうなの?」


隣に立っていた明奈が腰に手を当てながら援護の声をあげてくれる。


「祖国フランスにて先々代当主・如月慎十郎が敵組織幹部を捕らえました。その際、尋問した言葉の中に“陰陽の逆転”…と」