政都大病院。


宮内庁御用達の医療機関受付で陰陽課の紋を見せると、受付嬢は一言、特別治療棟へ、と教えてくれた。


特別治療棟は陰陽課の機密保持の為に存在する人に知られざる病棟で、そこに向かうと、紅い明かりが部屋入口の上に輝いていた。


「こー姉…」


姉の名前を呼んでから、息が少し詰まり、胸が苦しくなって、目頭が熱くなるのを感じた。


何も出来る筈も無く、ただ心配だけしながら立つ事が出来ない自分に苛立つ。


―――俺は…また無力なのか


「せー君!」


はるかの大きな声に、びくっとなる。


考えてる事も全部頭から消えて、成二の視界には半泣きのはるかが映った。


「キミが自分を責める必要なんてないの。キミは悪くないんだよ?」


「先輩…」


はるかは涙を堪えて、成二の手を握る。


その手は凄く温かくて…嬉しかったが、成二はどうしたらいいのかわからなくなった。