「たか姉?」


姉の険しい顔がはっきりと成二の眼に残る。


「だーめ、キミはこっちを見てて?でないと、手当て出来ないよ?」


治療班の谷崎はるかが頭に包帯を巻いてくれる。


「先輩、何があったんですか?」


はるかは何も知らないらしく、さぁ、と言って傷の手当を続けた。


突然、はるかがびくっとして治療の手を止める。そして彼女の右耳につけているイヤホンに意識を向けた。


そのまま黙ってイヤホンをトランシーバーから外して、音を大きくする。


「…繰り返す。本部より各局。東京政都千代田区にて襲撃事件発生。小龍沢紘子主任重傷、弐番隊全滅。本件を第一種テロと認定し、総員第一種警戒体制を発令する」