今宵、月の照らす街で

「せぇじ?怪我はどう?」


京都大学病院特室フロアの一室に、明奈が入った。


「明奈さん」


テレビを見ていた成二は、テレビを消そうとするが、明奈が構わないで、と気遣いの言葉をかける。


「なんとか大丈夫です。もうあんまり痛くないし」


「でも、無理はしたらダメ。きちんと休みなさいね??」


成二に言葉をかけながら、静かに椅子に座る。


テレビには、最近の闘いの跡を写す番組ではなく、最近人気あるアイドルの番組が始まったところだった。


「せぇじ、こーゆーコ達好きなの??」


「まぁ、可愛いとは思いますが…」


成二の反応に、本当に変わったと感じ、明奈は微笑んだ。


「明奈さん、葉月は?」


「大丈夫、もう涙が枯れちゃった、って」


「…強がりじゃないですか」


成二の言葉に、明奈も頷く。


「そうなんだけどね。でも、あのコも頑張って立ち直ろうとしてるよ」


「…そうですね」


まだ病室から出れる事が出来ないが、成二は葉月の気持ちを何処となく感じていた。