今宵、月の照らす街で

『ガアァぁァ!!?』


多香子達の攻撃に大きなダメージを受けた廉名の甲冑が歪む。


その様子に、多香子の左瞳が疼いた。


「二人共、避けて!!」


その叫びに反応し、成二と紘子が空へ跳び上がる。


間一髪で、成二と紘子は甲冑から飛び出した陰の槍から回避した。


それは多香子達が起こした風の気の残りに触れると、陰に変えて同化・吸収を始める。


「自己修復能力…」


呟く多香子の前で、廉明が身体を起こす。


『風が足りヌ…!風だけデハ風を支配するニ遠イ!!血を…血をよこセェ!!』


廉明が腕を伸ばし、陰の槍を放つ。嵐月時雨の様な無数の槍の襲撃に、3人は瞬時に散り、槍の雨を凌ぐ。


回避の中から、多香子が左眼に波動を集める。光風霽月で見切った軌道から逆に攻めへの道を見出だし、嵐紋菊一文字を細かに振った。


しかし、飛ぶ斬撃ですら廉明の吸収対象となり、多香子の刀は届かない。


むしろ、廉明から伸びる槍の数と勢いが増し、3人が散り散りになった。


「一体…」


「どうすればいいの…!?」