今宵、月の照らす街で

廉明は多香子に左手を翳し、風を解放した。


多香子も風を繰り出すが、その風は簡単に呑まれ、多香子に風が直撃する。


多香子はその風を斬り、超低姿勢で間合いを詰め、一歩踏み込んで斬り払う。


陰の甲冑が斬られ、刃筋に垂直に斬撃を追加した多香子は、龍を右脚に宿し、鳩尾に蹴り込んで間合いを創る。


そのまま再び間合いを詰め、上段から刀を振り降ろし、攻めに拍車を掛けた。


廉明は攻撃を許したものの、月輪菊一文字を翻し、多香子の攻撃を交わし続ける。


その姿を見た紘子は、闘いに違和感を覚え、少し前に出た。


「せーじ?まだ、行ける?」


成二が顔を上げる。


「多分、姉さんは焦ってると思う。廉明が風を支配出来るんだもの」


チャクラムを両手に構え、紘子も集中し始める。


「風の障壁はここで固定させて、援護に行こう」