霞ヶ関庁舎跡。


先日の事件依以来、政都警視庁からの“KEEP OUT”のテープが貼られていた。


「みなさん!」


千鶴達が敷地に入ると、あずさの声が聞こえた。声の先を見ると、あずさと剣一郎が歩いてくる。


「これがトランシーバーです。耐霊圧加工が施されていますので、陰のジャミングは大幅防げるはずです」


「ありがとう」


あずさの手に乗った、小さな片耳ヘッドフォン式トランシーバーを、各自装着する。そして、千鶴が口を開いた。


「じゃあ、行くわよ。私と結衣ペア、紘子と明奈ペア、京介と桜ペアで行動開始。対象を破壊次第、次の目標へ向かって」


「せぇじはどうする?」


京介の背中で気絶している成二に目をやって、明奈が問い掛ける。


「あずさに診ていて貰うわ。あずさ。成二が目覚めたら近くのチームに合流させて。私たち以外のスタッフはココの警備と霊圧分布の低いところに配置。特異点発生防止をお願い」


「了解しました」


あずさの声に千鶴が頷いた。そして、この場にいるメンバーを見渡す。


「では、作戦開始」


声と同時に全員が動き出す。そして千鶴達が居た場所には、静かに風が吹いた。