「さ、霞ヶ関に行くわよ」


千鶴が霞ヶ関を向く。


「待って、千鶴さん」


「?」


紘子がケータイをいじりながら、千鶴を引き止める。


「これを見て。あずさちゃんが送ってくれた、霊圧分布図なんだけど…」


全員がひとつのケータイを囲む。


「ほら、これが、葉月に魔の波長を送り込んだ柱。それぞれ、その周りにたくさんの特異点があるの。きっと鬼神や半鬼とかね。とにかく、長官…いえ、敵の目的が本当に小龍沢の血なら、姉さんじゃなくて私か成二を数で潰せばいいじゃない?」


「確かに…本気の多香子さんは反則級の強さだからな。お前達の方がまだ楽だ」


京介が一服しようとタバコをくわえる。


「そう。でも、それをせずに柱を護るようにしてる」


千鶴が腕を組んで考え込む。


「この柱が葉月の変化の原因なら、ひとつの仮説が成り立つわ」


「小龍沢の血=室長、つまり長子の血を指していて、全力で室長を潰す為に魔の供給源である柱を守護、ですか?」


桜が口を開く。それに千鶴が頷いた。


「私も同意です。ですから、もう一度柱を壊しましょう。先程と違って、護衛がいるという事実が、敵にとっての柱の重要性を示しているかと思います」


千鶴が頷く。


「霞ヶ関についてから、その任務に移行するよう、覚えておいて」